最終更新日:2026年11月2日
国税庁が、令和7事務年度の「法人税等の申告(課税)事績の概要」を公表しました。ニュースで「法人税の申告所得が増えた」と見かけても、何がどれくらい増えたのか、自社に関係があるのかは分かりにくいですよね。
結論から言うと、法人税の申告所得金額は118兆9,000億円で、前年の116.2%でした。申告税額も21兆9,962億円と、前年の117.5%に増えています。数字は国税庁の資料で確認したものだけを使っています。
法人税の基本的な仕組みを先に知りたい方は、法人税の仕組みと税率の基礎解説もあわせてご覧ください。
この記事の目次
- 今回公表された「申告事績」とは
- 申告所得金額と申告税額は前年からどう動いたか
- 黒字申告割合と、1件当たりの所得金額
- 源泉所得税等の税額は23兆8,314億円
- 中小企業・個人事業主はこの数字をどう読むか
- よくある質問
- 関連記事
今回公表された「申告事績」とは
申告事績は、国税庁が1年分の申告状況を集計してまとめた統計です。今回は令和7事務年度の法人税、地方法人税、源泉所得税及び復興特別所得税が対象です。
集計の範囲は、資料の注記では次のとおりです。法人税は、令和7年4月1日から令和8年3月31日までに終了した事業年度の申告が対象です。令和8年7月31日までの申告分を、令和8年8月末現在でまとめています。
源泉所得税は、令和7年7月1日から令和8年6月30日までに提出のあった徴収高計算書の税額が集計されています。法人税と源泉所得税で、集計の切り口が違う点に気をつけてください。
申告所得金額と申告税額は前年からどう動いたか
まず、法人税の申告の全体像を表にまとめます。件数の単位は千件、金額の単位は億円です。
| 項目 | 令和6事務年度 | 令和7事務年度 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 申告件数 | 3,220千件 | 3,267千件 | 101.5% |
| 申告所得金額 | 1,023,381億円 | 1,189,000億円 | 116.2% |
| 法人税の申告税額 | 187,139億円 | 219,962億円 | 117.5% |
| 地方法人税の申告税額 | 21,719億円 | 25,320億円 | 116.6% |
申告件数はほぼ横ばいですが、所得と税額は大きく増えています。申告所得金額は約16.2%、法人税の申告税額は約17.5%の増加です。

なお、資料には増加の理由までは書かれていません。景気や物価、制度の影響など、背景を断定することは避けておきましょう。
黒字申告割合と、1件当たりの所得金額
次に、黒字で申告した法人の状況です。黒字申告件数は1,220千件で、申告件数に占める割合(黒字申告割合)は37.3%でした。前年は36.5%ですので、0.8ポイントの上昇です。
黒字申告1件当たりの所得金額は97,455千円で、前年(87,074千円)の111.9%でした。ただし、これは大きな法人を含めた平均です。一般的な中小企業の水準を示す数字ではありません。

| 項目 | 令和6事務年度 | 令和7事務年度 | 前年比・増減 |
|---|---|---|---|
| 黒字申告件数 | 1,175千件 | 1,220千件 | 103.8% |
| 黒字申告割合 | 36.5% | 37.3% | +0.8ポイント |
| 黒字申告1件当たり所得金額 | 87,074千円 | 97,455千円 | 111.9% |
| 申告欠損金額 | 174,925億円 | 171,046億円 | 97.8% |
黒字申告割合が37.3%ということは、黒字以外の申告(赤字など)が6割強あるということです。赤字申告が多い点は、中小企業の経営環境を考えるうえで見落とせません。
源泉所得税等の税額は23兆8,314億円
同じ資料には、源泉所得税及び復興特別所得税の税額も載っています。令和7事務年度の合計は23兆8,314億円で、前年(20兆3,445億円)の117.1%でした。
| 所得の区分 | 令和6事務年度 | 令和7事務年度 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 給与所得 | 123,694億円 | 142,558億円 | 115.3% |
| 退職所得 | 3,389億円 | 3,838億円 | 113.2% |
| 利子所得等 | 5,365億円 | 8,590億円 | 160.1% |
| 配当所得 | 32,503億円 | 40,974億円 | 126.1% |
| 特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等 | 14,251億円 | 16,641億円 | 116.8% |
| 報酬料金等所得 | 12,211億円 | 12,565億円 | 102.9% |
| 非居住者等所得 | 12,031億円 | 13,149億円 | 109.3% |
| 合計 | 203,445億円 | 238,314億円 | 117.1% |
給与所得の源泉徴収が最も大きく、14兆2,558億円です。利子所得等は前年比160.1%と、伸び率が目立ちます。給与の天引きの仕組みは、源泉徴収と年末調整の基礎解説で整理しています。
中小企業・個人事業主はこの数字をどう読むか
この統計は、日本全体の申告をならした結果です。自社の税額が増えるという意味ではありませんし、税率が変わったという話でもありません。
ただ、読み方のポイントはいくつかあります。
- 全体の所得が増えていても、黒字申告は37.3%にとどまります。赤字の会社が多いことは、統計からも分かります。
- 1件当たりの所得金額は大法人を含む平均です。自社の数字と単純に比べるのは避けましょう。
- 源泉所得税は、給与のほか配当や報酬にもかかります。支払う側は、区分ごとの源泉徴収と納付期限の確認が欠かせません。
個人事業主から法人化を考えている方は、法人成りのメリット・デメリットも参考にしてください。設備投資を検討している法人は、減価償却の基礎解説もあわせてどうぞ。
よくある質問
Q. 「事務年度」とは何ですか?
A. 国税庁が事務の区切りとして使う期間です。今回の資料では、法人税は令和7年4月1日から令和8年3月31日までに終了した事業年度の申告、源泉所得税は令和7年7月1日から令和8年6月30日までの提出分を集計しています。
Q. 申告所得が増えたので、法人税の税率は上がりますか?
A. いいえ。今回の公表は申告の実績をまとめた統計で、税率を変えるものではありません。税率の考え方は、法人税の仕組みと税率の解説で確認できます。
Q. 黒字申告割合37.3%は、会社の6割強が赤字という意味ですか?
A. 資料の数字を割り算すると、黒字申告件数が申告件数の37.3%にあたります。残りは黒字以外の申告です。ただし、赤字の中身(所得ゼロの法人など)までは資料から読み取れません。
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出典
本記事の内容は、2026年11月2日時点で施行されている法令等に基づいて作成しています。今後の税制改正等により内容が変更される場合があります。
免責事項:この記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の税務判断や申告については、税理士などの専門家にご相談ください。

