国税庁は令和8年10月20日、「令和7年度におけるe-Taxの利用状況等について」を公表しました。所得税申告のe-Tax利用率は77.4%。前年度より3.3ポイント上がっています。
同じ日には、令和9年1月から個人事業者の開業関係の届出を一括で提出できる機能が提供される予定、というお知らせも出ました。
この記事では、公表された数字を整理し、個人事業主にとって何が変わりそうかを見ていきます。スマホでの申告の流れを知りたい方は、令和8年分の確定申告、スマホ・マイナポータル連携の記事もあわせてご覧ください。

令和7年度のe-Tax利用率、主な手続の一覧
国税庁の資料から、主な手続の利用率を表にまとめました。令和8年度末の目標値は、財務省の「オンライン利用率引上げに係る基本計画」に基づくものです。
| 手続 | 令和6年度 | 令和7年度 | 前年度差 | 令和8年度末の目標 |
|---|---|---|---|---|
| 所得税申告 | 74.1% | 77.4% | +3.3pt | 80% |
| 消費税申告(個人) | 78.1% | 80.3% | +2.2pt | 82% |
| 法人税申告 | 89.1% | 91.8% | +2.7pt | 92% |
| 相続税申告 | 50.3% | 70.2% | +19.9pt | 72% |
| 国税納付手続 | 46.1% | 49.7% | +3.6pt | 54% |
| 源泉所得税(徴収高計算書) | 28.5% | 34.0% | +5.5pt | 36% |

所得税申告は約2,111万件がe-Taxで提出
所得税申告のe-Tax件数は21,114,863件で、前年度の約1,990万件から6.1%増えました。利用率は77.4%で、令和8年度末の目標80%まで、あと2.6ポイントです。
伸びが大きかったのは相続税申告です。利用率は50.3%から70.2%へ、19.9ポイント上がりました。納税証明書の交付請求も44.2%から61.2%に伸びています。
数字を読むときの注意点
- 所得税申告と消費税申告(個人)は、令和3〜4年度に期限延長等の特例があったため、集計期間が通常の4月〜3月と異なります。
- 国税納付手続と源泉所得税は、令和8年10月に算定方法が見直され、過年度分も再計算されています。
- 法人税申告などの利用率は、休業・清算中の法人を除いて算出されています。
過去に公表された数字と単純に比べると、ずれて見える場合があります。比較するときは、今回の資料に載っている令和6年度の数字を使うのが安全ですね。
令和9年1月から、開業関係の届出を一括提出できる予定
e-Taxのお知らせによると、令和9年1月から、個人事業者等の開業時の手続について、統合様式で一括提出する機能が提供される予定です。必要なものだけを選んで提出することもできます。
統合様式で出せる届出は、次の5つです。
- 開業の届出
- 青色申告承認申請
- 青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)
- 給与支払事務所等の開設の届出
- 源泉所得税の納期の特例の承認申請

国税庁は、画面イメージは検討中の内容を含み、今後変わる可能性があるとしています。詳しい利用条件は、現時点のお知らせには書かれていません。提供が始まったら、改めて確認しましょう。
開業時に押さえたい期限の例
一括で出せるようになっても、それぞれの届出に定められた期限は変わりません。代表的な2つを確認しておきます。
- 青色申告承認申請書:その年の1月16日以後に新しく業務を始めた場合は、業務を始めた日から2か月以内に提出します。1月15日以前に始めた場合は、原則どおり、承認を受けたい年の3月15日までです。
- 源泉所得税の納期の特例:給与の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者が対象です。納付期限は、1月〜6月分が7月10日、7月〜12月分が翌年1月20日になります。申請書を出した月の翌月末までに却下の通知がなければ、承認されたものとみなされます。
青色申告のメリットは、青色申告特別控除が令和9年分から最大75万円になる記事で整理しています。記帳に不安がある方は、青色申告の無料記帳指導「コンパクト型」の記事も参考になります。
Q&A:よくある疑問
Q. 統合様式を使えば、届出の要否を考えなくてよいのですか?
A. いいえ。統合様式は、複数の届出をまとめて出すための仕組みです。どの届出が必要かは、事業の内容によって変わります。
Q. 今すぐ使えますか?
A. まだです。国税庁のお知らせでは「令和9年1月から提供予定」とされています。現時点では、従来の方法で届出をします。
Q. 申告のe-Tax利用が増えると、何がよいのでしょう?
A. 国税庁は利用率の引上げを目標に掲げています。個人事業主にとっては、書面の提出や税務署への持参が減り、時間の節約につながります。なお、令和8年分から申告書の控用(複写式)が廃止されました。控えの残し方は、申告の控えと提出の証拠を残す方法の記事で解説しています。
まとめ
- 令和7年度の所得税申告のe-Tax利用率は77.4%で、前年度より3.3ポイント上昇しました。
- 令和8年度末の目標は80%。あと2.6ポイントです。
- 令和9年1月から、開業関係の5つの届出を統合様式で一括提出できる機能が提供される予定です。
- 一括提出できるようになっても、各届出の要否と期限は変わりません。
個別の事情によって取り扱いは変わります。具体的な判断が必要な場合は、税理士などの専門家にご相談ください。
本記事の内容は、2026年10月21日時点で施行されている法令等に基づいて作成しています。今後の税制改正等により内容が変更される場合があります。

