9月に入り、そろそろ年末調整の準備を意識し始める頃かと思います。実は令和8年8月7日、国税庁から「令和8年分の年末調整控除申告書作成用ソフトウェア【プロトタイプ】」が公開されました。毎年秋に更新されるこの年調ソフトですが、今年は令和8年度税制改正への対応も重なり、例年以上に気になっている経理担当者の方も多いのではないでしょうか。この記事では、国税庁の公表情報をもとに、プロトタイプ版の位置づけや公開スケジュール、利用時の注意点を整理します。
年調ソフト【プロトタイプ】とは何か
「年末調整控除申告書作成用ソフトウェア」(通称・年調ソフト)は、国税庁がスマートフォンやパソコンから無償で提供している、年末調整の各種控除申告書をデータで作成できるツールです。給与所得者が入力した内容はXML形式のデータとして出力でき、勤務先がその電子データを年末調整の事務に取り込むことで、書面のやり取りを省略できる仕組みになっています。
今回公開された「プロトタイプ」は、正式版に先立って動作確認用に提供される試用版という位置づけです。国税庁も「開発途中のものを動作確認用として参考に提供するもの」としており、今後の改修で仕様が変わる可能性がある点に注意が必要です。正式版は令和8年10月に公開される予定とされています。
公開スケジュールと入手方法
令和8年分の年調ソフトは、まずプロトタイプ版が8月7日に公開され、単体テストや改修を経て10月に正式版へと切り替わる流れになっています。そして12月1日には、令和8年度税制改正で見直された基礎控除・給与所得控除・扶養控除の要件が施行され、この年の年末調整から新しい控除額が適用されます。全体の流れを時系列で整理すると、次のようになります。

入手方法は例年どおり2系統用意されています。スマートフォンやタブレットの場合は、App Store・Google Play Store・Microsoft Storeのいずれかで「年末調整 国税庁」と検索してインストールする方法です。各Storeを利用できないパソコンの場合は、国税庁のページからWindows版・Macintosh版のZIPファイルを直接ダウンロードします。なお、利用にあたっては年調ソフトの利用規約への同意が前提となっています。
プロトタイプ版を使う際の注意点
プロトタイプ版は正式版に先駆けて試せる点が便利な一方、国税庁自身がいくつかの留意事項を挙げています。実務で先行導入を検討する場合は、少なくとも次の点を押さえておくとよいでしょう。

特に、令和6年分・7年分の年調ソフト(プロトタイプ版・正式版いずれか)をすでに導入している端末では、Windows版のインストール時に生成される専用ツールを事前に削除しておかないと、新しいプロトタイプ版をインストールできない場合があります。この対応方法は国税庁の年調ソフトFAQに掲載されているため、旧バージョンの利用歴がある方は事前に確認しておくと安心です。
Q. プロトタイプ版と正式版で、控除額の計算結果に違いはありますか。
A. 令和8年度税制改正に関する部分は今回のプロトタイプ版から反映されているとされていますが、それ以外の機能は単体テストの途中段階にあり、不具合が生じる可能性があると国税庁自身が案内しています。実際の年末調整事務で使う場合は、公開後の国税庁からのお知らせや正式版への切り替え時期も確認しながら利用するのが安全です。
Q. マイナポータル連携も今から使えますか。
A. 現時点では、令和8年分年調ソフト【プロトタイプ】においてマイナポータルからの控除証明書等の自動取得には対応していません。生命保険料控除証明書などをマイナポータル経由で取り込みたい場合は、正式版の公開を待つか、証明書データを個別にインポートする従来の方法を使うことになります。
令和8年分の年末調整、控除額の改正点もあわせて確認を
年調ソフトの機能面だけでなく、今年は基礎控除・給与所得控除・扶養控除の要件そのものが令和8年度税制改正で見直され、12月1日から適用される点も見逃せません。控除額の具体的な改正内容については、以下の記事で詳しく整理していますので、あわせてご確認ください。
令和8年分の年末調整はここが変わる—基礎控除・給与所得控除・扶養控除の改正ポイント
まとめ
令和8年分の年調ソフトは、8月7日にプロトタイプ版が公開され、10月の正式版公開を経て、12月1日の年末調整本番を迎える流れになっています。プロトタイプ版は先行して操作感を確認できる反面、仕様変更やマイナポータル非対応などの制約があるため、実務での本格利用は正式版の公開状況を見ながら判断するのがよいでしょう。ご不明な点があれば、国税庁の年調ソフトヘルプデスク(0570-02-4563、9時〜17時)に問い合わせることもできます。
本記事の内容は、2026年9月5日時点で施行されている法令等およびソフトウェアの公開情報に基づいて作成しています。今後の税制改正やソフトウェアの改修等により内容が変更される場合がありますので、最新情報は国税庁の公表資料でご確認ください。

