「取引先から手形で支払われているけれど、これからどうなるのだろう」。そんな不安をお持ちの個人事業主や中小企業の方は多いのではないでしょうか。
約束手形は、令和9年3月31日に電子交換所での手形交換が廃止される予定です。公正取引委員会と中小企業庁は令和8年9月2日、廃止後も支払が適正に行われるよう、事業者団体や金融機関に要請を行いました。
この記事では、要請の内容と、個人事業主・中小企業が今のうちに確認したいポイントを整理します。取引の適正化については、フリーランス新法の運用状況の記事もあわせてご覧ください。
結論:手形の廃止と「60日以内の支払」がセットで進む
今回の要請の柱は2つです。1つは手形・小切手の利用廃止に向けた電子的決済への移行、もう1つは代金を受領から60日以内に支払うルールの徹底です。

- 取適法(中小受託取引適正化法)は令和8年1月1日に施行済み
- 多くの金融機関は、手形・小切手の最終振出期限を令和8年9月30日に設定
- 電子交換所での手形・小切手の交換は令和9年3月31日に廃止予定
- 支払告示は令和9年4月1日に施行され、取適法の対象外の取引にも及ぶ
最終振出期限は、すでに過ぎています。今後は、手元に残る手形の期日管理と、次の決済手段への切り替えが課題になりますね。
取適法で何が禁止されているのか
公正取引委員会の資料によると、令和8年1月1日以後の発注について、代金の支払に手形を交付することは禁止されています。
また、電子記録債権や一括決済方式のような現金以外の手段も注意が必要です。受領から60日以内の支払期日までに満額の金銭を受け取れない場合は、使用が禁止されます。たとえば、受領日から60日を超える満期を設定した電子記録債権や一括決済は、原則として禁止です。
取適法は、下請法が名称変更されたものです。従来の資本金基準に加えて、従業員数の基準が追加されました。製造委託等では300人、役務提供委託等では100人です。資本金基準に当たらなくても、従業員数の基準に当たれば対象になります。
Q. 取適法の対象外の取引なら、60日ルールは関係ないですか?
A. 関係あります。令和9年4月1日に施行される支払告示は、取適法の対象外の取引も含めて、給付を受領した日から60日を経過しても代金を支払わない行為を禁じています。さらに、対象外の取引でも、サイトを60日以内に短縮し、できる限り現金で支払うよう努めることが求められています。
個人事業主・中小企業が確認したい4つのこと
制度の細部は取引の内容によって変わります。まずは自社の現状を確認しておきましょう。

- 手形の洗い出し:受取手形や振り出した手形について、金額・期日・相手先を一覧にする
- 支払条件の点検:取引先との支払サイト(支払までの期間)が、受領から60日以内かを確認する
- 代替手段の協議:電子記録債権や振込など、満額を期日までに受け取れる方法を取引先と話し合う
- 早めの相談:資金繰りへの影響が見込まれる場合は、取引先や金融機関に相談する
要請では、サイトを短縮する事業者に対して、金融機関が柔軟できめ細かな資金繰り支援に努めることも求められています。お取引のある金融機関に、手形・小切手サービスの変更内容を確認しておくと安心です。
電子的な決済や請求の仕組みについては、デジタルインボイス(Peppol)の記事も参考になります。
まとめ
- 電子交換所での手形交換は令和9年3月31日に廃止予定で、最終振出期限(令和8年9月30日)はすでに過ぎている
- 取適法では令和8年1月1日以後の発注について手形払が禁止され、令和9年4月1日からは支払告示で60日以内の支払が求められる
- 手形の洗い出し、支払サイトの点検、代替手段の協議、金融機関への相談の順で備える
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免責事項・法令遵守について
本記事の内容は、2026年10月25日時点で施行されている法令等に基づいて作成しています。今後の税制改正等により内容が変更される場合があります。
本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の取引や契約への当てはめを行うものではありません。具体的なご相談は、公正取引委員会、弁護士、税理士などの専門家にご確認ください。

