日本郵便が「フリーランス新法」違反で勧告―個人事業主が今すぐ確認すべき取引条件・支払期日のルール

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令和8年9月2日、公正取引委員会が日本郵便株式会社に対し、フリーランス・事業者間取引適正化等法(通称・フリーランス新法)違反を理由に勧告を行ったというニュースが報じられました。大手企業でも起こりうる違反事例として注目されていますが、これは発注する企業側だけでなく、業務を受けるフリーランス・個人事業主の側にとっても「自分の取引先はきちんとルールを守っているか」を見直すよい機会です。この記事では、公正取引委員会の公表資料をもとに、今回の事案の内容と、個人事業主が押さえておきたい基本ルールを整理します。

日本郵便への勧告、何が問題だったのか

公正取引委員会の公表資料によると、日本郵便は令和6年11月から令和7年6月にかけて、研修実施や郵便物配達等の業務を委託したフリーランスとの取引において、次の2点でフリーランス新法に違反したと認定されました。

日本郵便への勧告事案の概要(対象人数・違反条項・違反期間)を示すインフォグラフィック
出典:公正取引委員会「日本郵便株式会社に対する勧告について」(令和8年9月2日)を基に作成

1つ目は、167名のフリーランスに対し、業務委託の際に取引条件の全部または一部を書面や電磁的方法で明示しなかったという、取引条件明示義務(法第3条第1項)の違反です。2つ目は、140名のフリーランスについて報酬の支払期日を定めておらず、給付を受領した日または役務の提供を受けた日までに報酬を支払わなかったという、報酬支払期日義務(法第4条第5項)の違反です。公正取引委員会は、業務委託時に速やかに取引条件を明示すること、法定の期日までに報酬を支払うことなどを内容とする再発防止策を実施するよう勧告しています。

個人事業主が確認しておきたい基本ルール

今回のような事案は、決して特殊なケースではありません。フリーランス新法は令和6年11月1日に施行されており、業務委託を受ける個人事業主であれば誰にとっても関わりのある制度です。特に押さえておきたいのが「取引条件の明示」と「報酬支払期日の60日ルール」の2点です。

フリーランス新法の60日ルールのタイムラインと、明示すべき取引条件の一覧
出典:公正取引委員会「Q&A」を基に作成

報酬の支払期日は「給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内」と定められています。起算日は、物品なら受け取って自己の占有下に置いた日、情報成果物なら受領日、役務の提供なら提供完了日です。なお、元請けからさらに再委託を受けている場合には、元委託者からの支払期日を起点に30日以内に支払うという例外ルールもあります。

Q. 取引条件は口頭の約束だけでも問題ありませんか。

A. 原則として認められません。フリーランス新法では、業務委託事業者に対し、当事者の名称・業務委託日・給付や役務の内容・期日・場所・報酬額と支払期日などを、書面または電磁的方法(メール・SNS・チャットツールなど、受信者を特定して電気通信により送信する方法)で明示することが義務付けられています。口頭のみのやり取りで契約している場合は、今回の日本郵便の事案のように明示義務違反にあたるおそれがあるため、書面やメールでのやり取りに切り替えておくことをおすすめします。

Q. 支払いが遅れている場合、フリーランス側から何かできることはありますか。

A. まずは取引条件を明示した書面やメールが残っているかを確認し、支払期日がいつだったのかを明確にすることが大切です。そのうえで取引先に支払いを求めても改善が見られない場合は、公正取引委員会や中小企業庁の相談窓口に相談する方法があります。確定申告や帳簿付けの観点からも、未収の報酬がいつ発生したかを記録しておくと、後々の申告作業がスムーズになります。

まとめ

今回の日本郵便への勧告は、大手企業であってもフリーランス新法違反が起こりうることを示す事例です。個人事業主・フリーランスとして働く方は、自分が受けている業務委託について、取引条件が書面やメールできちんと明示されているか、報酬の支払期日が「給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内」に設定されているかを、この機会に確認してみるとよいでしょう。取引条件があいまいなまま契約している場合は、記録を残す形に見直しておくことをおすすめします。

本記事の内容は、2026年9月14日時点で公表されている情報に基づいて作成しています。今後の制度運用や公正取引委員会の発表内容により変更される場合がありますので、最新情報は公正取引委員会の公表資料でご確認ください。個別の取引に関するご相談は、弁護士や税理士など専門家にご相談ください。

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