国税庁は令和8年10月22日、「令和8年分年調ソフトに関する事象について」を公表しました。年調ソフトで確認された事象は2件で、どちらも令和8年11月中旬ごろに修正版を再リリースする予定とされています。
年末調整の書類を年調ソフトで作る予定の方は、気になるところですね。この記事では、公表された内容を整理して、何が起きるのか、どんな場合に当てはまるのか、再リリースまでどう対応するのかを解説します。
年調ソフトの公開時の変更点は令和8年分年調ソフトが正式公開された際の記事で、令和8年分の年末調整全体の改正点は令和8年分の年末調整はこう変わるで解説しています。基礎から知りたい方は、あわせてご覧ください。
この記事のポイント
- 事象1:条件に当てはまると、扶養親族の「合計所得金額」を入力できず、所得金額調整控除や生命保険料控除の額が過大になることがあります
- 事象2:Android端末で控除申告書の「書面出力」を選ぶと、画面がブラックアウトしてPDFを見られません
- どちらも令和8年11月中旬ごろに再リリース予定です(確定した日程ではありません)

事象1:扶養親族の合計所得金額を入力できない
どんな事象か
「扶養控除等(異動)申告書」の画面で、扶養親族の「合計所得金額」を入力できなくなる事象です。その結果、その扶養親族の「令和8年分の所得の見積額」が0円として設定されます。
発生する条件(3つすべてに当てはまる場合)
- 扶養親族等の年齢が23歳未満であること
- その扶養親族等について、「他の所得者の控除対象」を「はい」とすること
- その扶養親族等の「令和8年分の所得の見積額」が62万円を超えること
3つすべてが重なった場合に起きるとされています。たとえば、アルバイト収入がある大学生年代の子がいる世帯などが、確認の対象になりそうですね。
想定される影響
- 扶養親族がいない場合(たとえば「特定親族」に該当する場合)でも、「所得金額調整控除申告書」で23歳未満の扶養親族がいる前提の申告書を作成できてしまい、所得金額調整控除額が過大になることがある
- 同じように、「保険料控除申告書」で23歳未満の扶養親族がいる前提の生命保険料控除の申告書を作成できてしまい、生命保険料控除額が過大になることがある
- 1と2に伴い、所得金額調整控除申告書と保険料控除申告書(XML)の合計所得金額(見積額)が0円になる
控除額が過大になると、年末調整の税額計算にも影響します。条件に当てはまりそうな場合は、控除額の確認が必要です。
そもそも所得金額調整控除とは
所得金額調整控除は、給与等の収入金額が850万円を超える方で、本人が特別障害者であるか、23歳未満の扶養親族や特別障害者の同一生計配偶者・扶養親族がいる場合に受けられる控除です。控除額は、(給与等の収入金額−850万円)×10%で計算します。収入金額は1,000万円が上限なので、控除額の上限は15万円です。
年末調整では、「所得金額調整控除申告書」を、その年に最後に給与等の支払を受ける日の前日までに給与の支払者へ提出します。
なお、扶養親族の所得要件(合計所得金額)は、令和8年分から58万円以下が62万円以下に引き上げられています。
事象2:Android端末で書面出力すると画面が真っ暗になる
年調ソフトのAndroid版で、控除申告書の「書面出力」を選んで画面を順に進めると、画面がブラックアウトし、作成したPDFを見られない事象です。
再リリースまでの暫定対応
- 控除申告書の「出力形式の選択」で、「電子データで出力する」を選ぶ
- メーラーにPDFが連携されるので、適当な方法で保存し、PDF閲覧ツールで確認する

今、私たちが確認しておきたいこと
ここからは、公表内容を踏まえた一般的な整理です。個別の事情によって対応は変わるため、迷う場合は国税庁の案内や、税理士にご相談ください。
- 令和8年分の年調ソフトが対応しているのは、令和8年12月1日以後に行われる年末調整です。国税庁は修正版を11月中旬ごろに再リリースする予定としているので、急がずに修正版を待つ選択肢もあります
- 事象1の3つの条件に当てはまる扶養親族がいる場合は、作成した控除申告書の控除額が過大になっていないかを確認しましょう
- Android端末で書面出力をする場合は、「電子データで出力する」を選ぶ暫定対応を使いましょう
- 会社で年末調整を担当している方は、従業員から提出された申告書の控除額を確認する場面で、特に23歳未満の扶養親族がいる方の記載に注意すると安心です
特定親族特別控除など、令和8年分で新しくなった控除との関係は、特定親族特別控除が令和8年分から新設の記事も参考になります。
よくある質問
Q. 3つの条件に当てはまらなければ、事象1の影響はありませんか。
A. 国税庁の公表では、事象1は上の3つの条件をすべて満たす場合に起きるとされています。ただ、公表は調査の途中経過でもあるため、最新の案内は国税庁のホームページで確認してください。
Q. 修正版はいつ公開されますか。
A. 令和8年11月中旬ごろに再リリースする予定とされています。確定した日程ではないので、国税庁の「年末調整手続の電子化に向けた取組について」のページで最新の情報を確認しましょう。
Q. すでに年調ソフトで申告書を作ってしまいました。
A. 事象1の条件に当てはまる場合は、控除額が過大になっていないかを確認してください。具体的な修正方法は、国税庁の案内や勤務先の担当者、税理士に確認するのが確実です。
免責事項・法令遵守について
本記事の内容は、令和8年10月26日時点で施行されている法令等と、国税庁が公表している情報に基づいて作成しています。今後の税制改正や国税庁の追加情報により、内容が変更される場合があります。
個別の税務相談は、税理士などの専門家へご相談ください。

