「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」実証事業とは―SCS評価制度と連動する中小企業支援、参加のメリットと注意点

サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)とは―SCS評価制度と連動する実証事業を解説するアイキャッチ画像 IT・業務効率化

2026年9月、経済産業省と独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、中小企業向けの新しいセキュリティ支援策「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」の実証事業を開始しました。これは、取引先から求められるセキュリティ対策のハードルが上がっていく中で、専門人材や予算が限られる個人事業主・中小企業を後押しするための制度です。税理士として中小企業の経営を支える立場から、この制度の内容と、今から準備しておきたいポイントを解説します。

サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)とは

「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、国が認定した民間事業者が、24時間の異常監視・緊急時の駆け付け支援・相談窓口・簡易的なサイバー保険などを、月額数千円〜数万円程度のパッケージで安価に提供する既存の支援策です。今回新設が検討されている「新類型」は、この既存サービスに加えて、経済産業省が創設を進めている「SCS(Supply Chain Security)評価制度」の★3・★4取得に必要な診断・対策実施・教育・規程整備までをワンパッケージで支援する、いわば上位プランという位置づけです。

Q. 既存の「お助け隊サービス」と何が違うのですか?

A. 既存サービスを置き換えるものではなく、その上に「SCS評価制度の★取得支援」を乗せた発展型です。具体的には、★3・★4の要件項目のうち自社で未達成の項目について、新類型サービスの導入によって達成を目指す仕組みになっています。既存のお助け隊サービスだけでは対応していなかった「組織的な対策」や「★取得の証跡づくり」まで含めて支援を受けられる点が大きな違いです。

なぜ今、サプライチェーン全体のセキュリティ対策が必要なのか

企業活動のデジタル化やIoT機器の普及に伴い、サイバー攻撃を受けるリスクは年々高まっています。経済産業省によれば、中小企業を起点としたサイバー攻撃が取引先企業まで影響を及ぼすケースが増えており、IPAが実施した中小企業実態調査では、サイバー攻撃の被害に遭った中小企業の約7割が「取引先にまで影響が及んだ」と回答したとされています。こうした背景から、自社だけでなく取引先のことも考慮したセキュリティ対策が、サプライチェーン全体の課題として位置づけられるようになっています。

SCS評価制度とは―セキュリティ対策を「★」で見える化

「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)」は、取引先ごとに異なっていたセキュリティ要件を、共通の★基準で見える化する制度です。経済産業省は令和8年度末頃の施行を目指しており、★3・★4の申請受付は2027年3月頃に開始される見込みとされています。制度はあくまで任意ですが、施行後は発注者企業から★取得を求められる場面が増えることも想定されており、早い段階から対応イメージをつかんでおくことには意味があるでしょう。

SCS評価制度とサイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)の関係を示す図解
SCS評価制度と「お助け隊サービス(新類型)」の関係(経済産業省の公表資料をもとに作成)

実証事業の概要―対象・期間・参加のメリット

項目内容
実施主体経済産業省・独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
対象サプライチェーンを構成する中小企業等
実証期間2026年9月頃〜2027年9月頃(最大で1年程度)
参加事業者数IPAが認定したサービス提供事業者15社
参加方法IPAの紹介ページで事業者を選び、各事業者を通じて申込み

Q. 実証事業に参加すると、どんなメリットがありますか?

A. 最大のメリットは、SCS評価制度の★取得に必要なセキュリティ対策(実証期間中・最大1年程度の範囲)を、国の支援を受けながら実質的に無料で実施できることです。組織的な対策の支援も受けられるため、サイバー攻撃のリスク低減に加えて、制度開始後に取引先から★取得を求められた際にもスムーズに対応できる土台づくりになります。取引先との信頼性向上につながる点も、見逃せないポイントですね。

税理士の視点―個人事業主・中小企業が今からできる3つの準備

SCS評価制度や新類型サービスの詳細は2026年度中に順次固まっていく見込みですが、制度の正式な開始を待たずに準備を始めておくと、後からの対応がぐっと楽になります。顧問先の経営をサポートする立場から、特に意識しておきたい3点を挙げてみましょう。

  • 自社が取引先からどの程度のセキュリティ水準を求められそうか、主要な取引先の方針を早めに確認しておく
  • 既存の「お助け隊サービス」や基本的なセキュリティ対策(パスワード管理・バックアップ・従業員教育など)を、できる範囲から着手しておく
  • 令和8年改正個人情報保護法など、関連する法令対応の状況も合わせて点検しておく

個人情報の取り扱いに関するルール整備は、SCS評価制度の対策項目とも重なる部分が多い分野です。関連する改正内容は別記事「令和8年改正個人情報保護法とは―中小事業者・士業事務所が今から準備すべきこと」で解説していますので、併せてご確認ください。

申込方法と今後のスケジュール

実証事業への参加を希望する場合は、IPAの「お助け隊(新類型)実証事業紹介ページ」に公表されている認定事業者の中から、自社の業種・規模・課題に合う事業者を選び、その事業者を通じて申し込む流れになります。今後の制度全体のスケジュールは、おおむね次のように整理されています。

サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)とSCS評価制度の今後のスケジュールを示すタイムライン図
お助け隊サービス(新類型)・SCS評価制度のスケジュール(2026年10月時点の公表情報をもとに作成)
  1. 2026年9月頃〜:実証事業スタート(認定事業者15社によるサービス提供)
  2. 2026年度下期:実証結果を踏まえ、新類型サービスの品質・価格要件やIT導入補助金等との関係を整理
  3. 2026年度末頃:SCS評価制度の施行を予定
  4. 2027年3月頃:SCS★3・★4の申請受付開始を予定
  5. 2027年9月頃:実証事業終了、新類型サービスの本格提供開始を目指す

なお、セキュリティ対策に関する費用面では、IT導入補助金のセキュリティ対策推進枠など既存の補助制度との関係も、今後整理されていく見込みです。現時点で活用できる補助金については、別記事「「デジタル化・AI導入補助金2026」セキュリティ対策推進枠、第6次締切は10月30日」でも紹介していますので、こちらもあわせてご検討ください。

まとめ

「サイバーセキュリティお助け隊サービス(新類型)」は、SCS評価制度の創設と連動する形で、中小企業がセキュリティ対策の「★」取得を進めやすくするための支援策です。実証事業は2027年9月頃まで続く見込みで、制度の詳細は今後さらに固まっていきます。専任の情報システム担当がいない個人事業主・小規模事業者ほど、早めに情報を収集し、取引先の動向も確認しながら、無理のない範囲で準備を進めていきたいですね。

本記事の内容は、2026年10月13日時点で施行されている法令等に基づいて作成しています。今後の税制改正等により内容が変更される場合があります。また、本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の対応については専門家(税理士・セキュリティ専門事業者等)への相談をおすすめします。

出典

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