2026年版中小企業白書、AI活用は約3割―バックオフィスは7割超に

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中小企業庁が2026年4月に公表した「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」で、中小企業における生成AI活用の実態調査結果が示されました。全体では約3割の企業が生成AI活用に取り組んでいる一方、部門によって活用の進み方には大きな差があることがわかっています。今回は、白書のデータをもとに、中小企業のAI活用の現在地と、税理士事務所や経理担当者にとっての実務的なヒントを整理します。

中小企業のAI活用は約3割、部門でばらつき

白書によると、生成AI活用に「取り組んだ」と回答した中小企業は全体の約30%でした。決して高い割合とはいえませんが、取り組んでいる企業の中身を部門別に見ると、活用が進んでいる部門とそうでない部門の差が鮮明です。バックオフィス部門では73.4%、営業・販売・顧客対応部門では68.2%が活用している一方、製造・生産管理・物流部門は57.2%にとどまります。

部門別のAI活用率を示す棒グラフ
部門別のAI活用率(出典:中小企業庁 2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要)

経理・請求書処理・記帳といった定型業務を多く抱えるバックオフィス部門でAI活用が最も進んでいるという結果は、税理士の立場から見ても納得感があります。書類の読み取りや仕訳の下書き作成など、AIが得意とする定型的な処理と相性が良い領域だからです。

Q. AIを導入すればすぐに効果が出るのですか?

A. 白書では、AI導入企業のうち「想定した効果が得られた」と回答した企業が84.9%、「想定を超える効果が得られた」と回答した企業が6.5%となっており、多くの企業が一定の手応えを感じています。ただし、単にAIツールを導入するだけでなく、既存のITツールと連携させ「部門間の連携ができている企業」ほど、より高い効果(想定を超える効果5.9%)を得られる傾向がある点がポイントです。

AIを活用していない理由―「使い方がわからない」が最多

一方で、AIを活用していない企業に理由を尋ねた設問(複数回答)では、「業務イメージの欠如」が63.4%で最多となりました。次いで「推進人材の不足」が40.0%、「社内ルール未整備」が26.2%、「セキュリティへの懸念」が14.5%、「予算確保が困難」が13.8%と続きます。技術的なハードルよりも、「何にどう使えばよいかわからない」「社内で進める人がいない」といった、活用イメージや体制面の課題が導入の壁になっている様子がうかがえます。

AIを活用していない理由の上位5項目を示す棒グラフ
AIを活用していない理由・上位5項目(出典:中小企業庁 2026年版中小企業白書・小規模企業白書の概要)

人手不足時代におけるAIの役割―「省力化」と「業務補完」の両輪

白書では、労働供給が制約される社会において、AIには単純な省力化だけでなく、既存従業員の業務を補完する役割も期待されていると指摘されています。人手を減らすための手段としてだけでなく、限られた人員でこれまで手が回らなかった業務(資料作成や一次チェックなど)をAIに任せることで、従業員がより付加価値の高い業務に時間を割けるようにする、という考え方です。

Q. 税理士や中小企業の経理担当者は、この結果をどう受け止めればいいですか?

A. バックオフィス部門でのAI活用率が最も高いという結果は、経理・請求書処理・記帳といった定型業務からAI活用を始めるのが現実的な第一歩であることを裏付けています。一方で「社内ルール未整備」や「セキュリティへの懸念」も導入の壁として挙げられているため、顧客情報や会計データをAIツールに入力する際の取り扱いルールをあらかじめ整理しておくことが重要です。なお、AI導入にあたって費用面がネックになる場合は、デジタル化・AI導入補助金2026(旧IT導入補助金)のような公的支援制度の活用も選択肢になります。

まとめ

2026年版中小企業白書からは、中小企業のAI活用がまだ全体の3割程度にとどまる一方、バックオフィス部門を中心に着実に広がりつつある実態が見えてきます。導入企業の多くが一定の効果を実感していることを踏まえると、「使い方がわからない」という理由で足踏みしている企業にとっては、まず経理や請求書処理など定型業務からスモールスタートすることが現実的な一歩といえそうです。導入コストが気になる場合は、デジタル化・AI導入補助金2026の記事もあわせてご覧ください。

本記事の内容は、2026年9月4日時点で中小企業庁が公表している統計・情報に基づいて作成しています。今後の追加調査や制度の見直しにより内容が変更される場合があります。個別の導入判断や補助金活用については、税理士等の専門家にご相談ください。

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