「デジタル化・AI導入補助金2026」に申請したものの結果を待っている方、あるいはこれから申請を検討している方も多いのではないでしょうか。2026年9月3日、中小企業庁からこの補助金の採択結果が発表されました。今回は、その結果から見える傾向と、次回以降の公募に向けて中小事業者・個人事業主が今のうちにしておきたい準備を、税理士の視点で解説します。
最終更新日:2026年10月20日
Q. デジタル化・AI導入補助金2026の採択率は、どのくらいですか?
A. 直近で結果が公表された、令和8年8月25日締切の回は、申請5,398者に対して2,446者が採択され、採択率は約45.3%でした。その前の7月21日締切の回は、申請5,913者に対して2,601者が採択され、約44.0%でした。いずれも2回に1回弱の採択率です。
最新の結果:令和8年8月25日締切の回(2026年10月7日公表)
中小企業庁の公表によると、令和8年8月25日を締切とした回の結果は次のとおりです。採択率は、採択者数を申請者数で割って小数第2位を四捨五入した数字です。
| 枠 | 申請者数 | 採択者数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 全体 | 5,398者 | 2,446者 | 45.3% |
| 通常枠 | 1,836者 | 816者 | 44.4% |
| インボイス枠(インボイス対応類型) | 3,536者 | 1,610者 | 45.5% |
| セキュリティ対策推進枠 | 22者 | 16者 | 72.7% |
| 複数者連携デジタル化・AI導入枠 | 4者 | 4者 | 100.0% |
7月21日締切の回と比べると、通常枠の採択率は約42%から約44%へ、わずかに上がりました。ただし申請者数が少ない枠(セキュリティ対策推進枠・複数者連携枠)の採択率は、数件の違いで大きく動くため、傾向としては読みにくい点に注意しましょう。
デジタル化・AI導入補助金2026とは(おさらい)
デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がAIを含むITツール(ソフトウェア・クラウドサービス等)を導入する費用の一部を補助する制度です。会計ソフトや受発注システム、セキュリティ対策サービスなど、幅広いITツールが対象になります。令和8年度は「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」の3つの枠が設けられています。
前回の結果:令和8年7月21日締切の回(申請5,913者に対し採択2,601者、採択率は約44%)
中小企業庁の発表によると、令和8年7月21日を公募締切とした回では、申請5,913者に対して2,601者が採択され、採択率は約44%でした。枠別の内訳は次のとおりです。

| 枠 | 申請数 | 採択数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | 1,913者 | 807者 | 約42% |
| インボイス枠 | 3,982者 | 1,781者 | 約45% |
| セキュリティ対策推進枠 | 18者 | 13者 | 約72% |
件数で見るとインボイス枠の申請が全体の約3分の2を占めており、会計・受発注・決済機能を備えたインボイス対応ツールへの関心の高さがうかがえます。一方でセキュリティ対策推進枠は申請数自体が少ないものの、採択率は他の枠より高くなっている点が特徴です。
Q. 今回不採択でも、次の回にもう一度申請できますか?
A. はい、再申請は可能です。デジタル化・AI導入補助金は年度内に複数回の公募が予定されており、今回不採択だった場合でも、申請書類や加点項目を見直したうえで次回以降の公募に再チャレンジできます。不採択の理由(加点不足や書類不備など)を事務局からの通知で確認し、次回に向けて改善しておくとよいでしょう。
枠ごとの補助率・補助上限額の違い
中小企業基盤整備機構の公式ページによると、令和8年度の補助率・補助上限額は以下のように整理されています。通常枠は対応するプロセス数に応じて補助額の区分が分かれており、上限は450万円です(350万円という上限額はインボイス枠のものであり、通常枠とは異なります)。
| 枠 | 補助対象経費 | 補助率 | 補助額区分・上限額 |
|---|---|---|---|
| 通常枠 | ソフトウェア購入費、クラウド利用料(最大2年分)、導入関連費 | 1/2以内(賃上げ要件を満たす場合は2/3以内) | 1プロセス以上:5万円以上150万円未満/4プロセス以上:150万円以上450万円以下 |
| インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型) | 会計・受発注・決済機能を持つツール、PC・タブレット、レジ等 | 50万円以下は3/4以内(小規模事業者4/5以内)、50万円超は2/3以内など区分により変動 | 350万円 |
| セキュリティ対策推進枠 | IPA公表の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」掲載サービスの利用料(最大2年分) | 1/2以内(小規模事業者2/3以内) | 5万円〜150万円以下 |
通常枠の上限450万円は「4プロセス以上」に対応するツールを導入する場合の金額で、対応プロセス数が少ない場合は上限も下がります。補助率も事業者の規模や賃上げの実施状況などによって段階的に変わる仕組みになっているため、自社がどの区分に該当するかは公募要領の該当箇所を必ず確認しましょう。
Q. フリーランスや個人事業主でも申請できますか?
A. はい、対象となります。この補助金は中小企業・小規模事業者等を対象としており、個人事業主も業種ごとに定められた資本金・従業員数の要件(小規模事業者の場合はより緩やかな要件)を満たせば申請可能です。なお、電子取引類型については例外的に大企業も対象に含まれます。ご自身が対象要件を満たすかどうかは、公募要領の「対象者」の項目で確認してください。
次回に向けて今のうちにしておきたいこと
この補助金の電子申請には、事前に取得しておく必要がある認証情報があります。中小企業基盤整備機構(中小機構)の案内によると、次の2点は特に時間がかかるため、公募が始まってから慌てないよう早めの準備が推奨されています。

- GビズIDプライムの取得:発行までおおむね2週間かかります。オンライン申請の場合は郵送での照合作業が発生することもあるため、次回公募を待たずに早めに手続きしておくと安心です。
- SECURITY ACTIONの宣言:「★一つ星」または「★★二つ星」の宣言が要件となっており、発行までおおむね2〜3日です。GビズIDに比べれば短期間で完了しますが、申請直前に慌てないよう早めに済ませておきましょう。
- 加点項目の検討:IT戦略ナビの実施やデジタル化セカンドオピニオンの活用など、加点対象となる手続きも用意されています。採択率を少しでも高めたい場合は、余裕をもって加点項目の準備を進めるとよいでしょう。
Q. GビズIDはすでに他の補助金申請で取得済みですが、使い回せますか?
A. はい、GビズIDプライムは事業者単位で発行されるアカウントのため、他の補助金・行政手続きで取得済みであれば、デジタル化・AI導入補助金の申請にもそのまま利用できます。すでにお持ちの場合は、ID・パスワードが有効な状態か(有効期限切れになっていないか)だけ確認しておきましょう。
ITツールの導入や会計ソフトの活用については、以下の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
デジタル化・AI導入補助金2026は、令和8年7月21日締切の回で申請5,913者に対して2,601者が採択され、採択率は約44%でした。インボイス枠の申請が全体の多くを占める一方、セキュリティ対策推進枠は採択率が高めという特徴も見えてきました。次回以降の公募に申請を検討している場合は、発行に時間のかかるGビズIDプライムの取得や、SECURITY ACTIONの宣言を早めに済ませておくことで、余裕を持って書類作成や加点項目の準備に取り組めます。
本記事の内容は、2026年10月20日時点で施行されている法令・公表されている制度内容に基づいて作成しています。今後の公募要領の変更等により内容が変更される場合があります。個別の申請可否や税務上の取り扱いについては、税理士や中小企業診断士など専門家にご相談ください。

