(最終更新日:2026年10月25日)
1年間で支払った医療費が多かった年に利用できる「医療費控除」。会社員でも年末調整では受けられず、確定申告が必要になる数少ない控除の一つです。目安として「年間10万円」というラインを耳にしたことがある方も多いと思いますが、正確な計算式や対象範囲、必要な手続きまで理解している方は多くありません。この記事で整理しておきましょう。
対象となる医療費の範囲
医療費控除の対象になるのは、その年の1月1日から12月31日までに、本人または生計を一にする配偶者・親族のために支払った医療費です。病院での診療費・治療費のほか、治療のための医薬品購入費、通院のための交通費(公共交通機関)、一定の歯科治療費なども対象になります。一方で、美容目的の施術や人間ドック・健康診断の費用(ただし重大な疾病が見つかり治療を行った場合は対象になることがあります)、予防接種の費用などは原則として対象外です。
控除額の計算式
医療費控除の金額は、次の式で計算します。
| 計算式 |
|---|
| (支払った医療費の合計額)-(保険金等で補てんされる金額)-10万円 = 医療費控除額(最高200万円) |
「保険金等で補てんされる金額」とは、生命保険の入院給付金や健康保険の高額療養費・出産育児一時金などを指し、その給付の対象となった医療費からのみ差し引きます。また、その年の総所得金額等が200万円未満の方は、一律10万円ではなく「総所得金額等×5%」を差し引く計算になるため、所得が少ない方ほど医療費控除を受けやすい仕組みになっています。
申告に必要な手続き
医療費控除を受けるには、確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付して提出する必要があります。以前は医療費の領収書そのものを添付・提示する必要がありましたが、現在は明細書に医療費の内容をまとめて記載する方式に変わっています(領収書は、確定申告期限等から5年を経過する日まで自宅で保管し、税務署から求められたときに提示または提出します)。健康保険組合等から送られてくる「医療費のお知らせ」を活用すると、明細書の記載を簡略化できる場合があります。
Q. 家族の医療費をまとめて自分の医療費控除として申告できますか?
A. できます。生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費であれば、実際に支払った人(家計の担い手など)がまとめて申告することが可能です。世帯の中で最も所得の高い人がまとめて申告すると、税率の関係で節税効果が大きくなる傾向があります。
まとめ
医療費控除は、家族分を合算できる点や交通費も対象になる点など、見落としがちなポイントが多い控除です。1年間の医療費が10万円(所得200万円未満の方はそれより少ない金額)を超えそうな場合は、領収書やレシートをこまめに保管し、確定申告の際にまとめて集計する習慣をつけておくとよいでしょう。
本記事の内容は、2026年10月25日時点で施行されている法令等に基づいて作成しています。今後の税制改正等により内容が変更される場合があります。個別の税務判断については、必ず税理士等の専門家にご相談ください。

